製造について 

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   1.伝統的な製造技法〜本金〜
 2.伝統的な製造技法〜新マガイ〜
 3.近代的な製造技術〜真空蒸着〜
 4.引き箔、模様箔のあれこれ     
 5.蒸着製品の製法〜ソフトマガイ〜
 6.引き箔模様箔の裁断加工      


1.伝統的な製造技法 〜本金〜

 当初つくられていた製品は「本金糸」「本銀糸」といわれる丸撚り金糸と、「本金箔」
 「本銀箔」といわれる平箔でした。主原料は金箔、銀箔と和紙です。紙は雁皮(がんぴ)
 や楮(こうぞ)、三椏(みつまた)を材料にして漉いたもの「手漉き和紙」です。

主な製造工程「紙張り〜地引き〜箔押上〜着色〜裁断〜撚糸」
1)紙張り
  原紙に「ふのり」を塗布して、和紙の繊維の目止めをします。

2)地引き
  目止めした原紙に漆をヘラで塗りつけ、金箔の光沢を良くするための下地作りの作業です。
  後で使用する接着用の漆が原紙の中に浸み込みにくくします。

           

3)押上げ
  地引きした原紙の表面に接着用の漆を塗り、箔を一枚ずつ貼っていきます。
  この貼る作業の事を「押上げ」と言います。押し上ったら綿で綺麗に拭き、
  これを室(むろ)に入れて乾燥させます。


    
 

4)着色
  銀箔を押し上げたものは「銀」として使うだけだはなく、着色して金色にも
  します。これを紛金(まがいきん)と言います。硫化現象を防ぐために表面に
  エナメルコートを施します。
  本金に着色する事はほとんどありません。本金は箔打ちの段階で箔を強くする為
  に銀や銅を混ぜます。
  その混合率によって色の変化を作ります。銀や銅を多く混ぜると金色は赤味から
  黄味そして青味へと変化していきます。
  (下の画像は銀箔に着色して金色に加工しているところです)


       


5)裁断
  押し上がった箔を細く切る作業で、古くは定規を当てて包丁で切っていました。
  今日ではギロチン刃方式にて裁断をしています。(蕎麦を切るようにします)
  織物にもよりますが、通常一寸間(3.03mm)を60〜90本程度に切ります。
  これで平箔糸(引き箔)の出来上がりです。


    

6)撚り
  平箔の場合裁断されたところで製品は出来上がりです。
  金糸用の箔は長尺(約125m)の紙に押上げを行います。
  漆の乾燥をさせるため室に入れます。しんしに吊るして進行を安定させます。

     
 
  
長尺の場合原紙を木ロウと水と油で板状にたたみ込みます。
  それを横から裁断し、125mの箔に仕上げます。蕎麦を切る事に似ています。
  切った箔を行燈にのせ、木管に巻替えます。撚り上げるのには低速の撚糸機を
  用います。


      
  
  機械化されるまでは芯糸を天井から垂らした
  錘(つむ)を廻し平箔を揉みこむようにして撚り上げていました。古くは京都の
  南方向の伏見から城陽にかけての子女の内職によって作られていました。

 
 (注手撚りの技術は現在途絶えています。 

   機械化による撚糸は〜新マガイ〜のページを参照下さい。
   押上げ金糸と新マガイ金糸はほとんど同じ工程で作られます。
   平箔に用いる原紙と撚り用に用いる原紙はその長さが違います。
   平箔ではそのものの強度が求められ、厚めのもので短版を使用します。
   撚り用では芯糸に巻き付けていくために柔らかさを必要とし、薄く
   しなやかなもので長尺の物を使用します。これらを称して金箔原紙と言います。

             

2. 伝統的な製造技法〜新マガイ〜
  
  「新マガイ」金糸・金箔は伝統的な製法と現代的な製法の中間にあたります。
  長尺1.000mの和紙に銀を蒸着し、そのまま用いたり、金色にカゼイン着色
  したものを丸撚り金糸や両面平箔に加工します。

  まず原料の表面に木蝋を波線状に塗ります。これは裁断の時に原料の箔が横ずれ
  して切りムラを起こさないようにする為の準備です。一日置いてから裏側の和紙
  の部分に水分を吹き付けながらスピンドル油塗り板状にたたみ込んでいきます。
  水は適当な湿気を与えて木蝋を馴染ませるために、スピンドル油はギロチン包丁
  のすべりをよくする為に使います。


      

  たたみ込んだ原料から芯板を外し、プレス機で2〜3日圧迫し固めます。
  ここまで準備された原料は分厚い板のように固く締まります。


      

  これを機械に取り付けギロチン包丁で切ります。蕎麦を切る要領に似ています。
  各業者によって異なりますが200m〜330mを一回の作業で切ります。一掛けと
  呼ばれる一般的なもので60〜70切(0.49mm〜0.42mm)位の切幅になります。


              
  木管に巻かれた箔はその中心から出てくる芯糸に錘(ツム)を通して添うように巻かれて
  いきます。ふっくらとした撚り口になります。



3.近代的な製造技術〜真空蒸着〜

  昭和30年京都工芸指導所(現京都市工業研究試験場)において真空蒸着法が公開
  されました。真空蒸着とは真空にしたタンクの中で金属を高温で溶解蒸発させ、
  その金属原子を紙、布、プラスチックフィルム、レンズ、ガラス、等々に当てて
  金属皮膜を作らせるという方法です。

  翌31年その実用化の試みが始まります。走行するフィルムに連続真空蒸着を行う
  試みです。様々な難題を試行錯誤の末に乗り越え、またポリエステルフィルムとの
  出合いがあり、昭和32年実用化へと進んでいきます。
  当初ポリエステルフィルムは輸入品しかなく高価なものでした。その後国産の金糸用
  蒸着フィルムが生産されるようになりました。


            

  
国産の蒸着フィルムの開発は塗料メーカーを刺激し、着色剤(合成塗料および接着剤)
  の研究を促し、密着度の高い堅牢な塗膜を形成するものが次々と市販されるようになり
  ました。ポリエステルフィルムという新素材の登場が真空蒸着への扉を開き、これに伴う
  
新しい塗料、接着剤の出現がフィルム製の金銀糸を安定的なものとし、広範囲に及ぶ
  用途への歩みを助長することになったと言えます。

  真空蒸着法は従来の湿式メッキ法では出来なかった薄膜が得られ、しかも廃液は
  全くなく、空気の排気だけという、完全にクリーンなドライメッキ法で、応用範囲は
  金銀糸などの装飾用の他、光学、農業、建業、電気などのあらゆる分野に及んでいます。
  (参考資料 京都金銀糸平箔史 尾池工業125年史)



 ◆真空蒸着とは◆

  
鍋に水を入れて沸かすと100°cで沸騰し水蒸気を発生します。この上に冷たいガラスを
  持ってくると表面に水滴が付着し透明な水の膜が出来ます。
  また地上では100°c
で沸騰する水も富士山頂では80°cで沸騰します。
  
この二つの現象を組み合わせたものが真空蒸着です。
  真空の利点は蒸発しやすくするためだけではなく、酸化、窒化等の反応が起こらず
  純金属の皮膜が出来るのです


4. 引き箔・模様箔の技法あれこれ
 
  西陣織の帯地において引き箔の存在は欠かすことの出来ない重要なものです。先染め
  の糸を用いてつくる西陣織にとって引き箔で表現できるデザインは魅力的なものであり
  、そのデザイン取り入れる感性は様々な分野に及びます。

  一般的には目止めした箔原紙をベースに色漆やラッカーなどで彩色し、その上に金銀箔
  で模様をつけたり、箔原紙に金銀を押し上げたものや蒸着で金銀を転写したものをベース
  に着色、加熱、砂子箔によって模様表現をしたものが基本的なものです。
  それらを応用し、あらゆる可能性を追求し、駆使されてきました。
  品種は無限にあり企業秘密に属するものが多く、製品のネーミングは業者により様々です。

◆道具類◆

     

◆一般的な技法◆
<焼き箔>
  銀箔が硫化して変色する性質を利用したもので、硫黄分を含んだ紙や布を当てて
  アイロンで熱を加えます。硫黄分の量や熱のかけ方で金、赤、青、黒の4色を
  基本とした焼き色が得られます。

   画像は左から押上げの銀無地→淡く焼き上げたもの→濃く焼き上げたものです。

     

 
 <砂子箔・切箔>

  金箔原紙の上に色漆や塗料などで彩色し、表面に接着剤をのせます。箔片を目の
  細かい篩(ふるい)入れ、筆などでかき落とし模様をつけます。
  この応用で篩を用いず、様々な色の箔片を竹のピンセットで手早く押し散らす
  などの技法もあります。


    
 

  
<もみ箔>
  紙あるいは金銀のベースを手で揉み、シワを利用して模様を作ります。揉んだあと
  展ばし、これをベースに着色、砂子、切箔などで模様を作ります。


     

  
<貼り絵箔(ちぎり絵箔)>
  箔紙の上に貝(螺鈿)、べっ甲、木の皮、コルク、などで模様を描いたり、加熱して
  貼り付けたりします。ギロチン刃の箔裁断で可能なものはどんなものでも貼り付けて
  模様を作ることができます。


   
  

  
<絵箔>
  紙あるいは箔の上に漆やラッカーで直に絵柄を描き、細く裁断した後、元の絵の通り
  に織り込みます。織り上がった時のデザインを計算し経・緯(たて・よこ)の比率を
  扁平にした絵柄を作ります。箔の切巾で扁平率は変化します。

     

  
<墨流し・油滴>
  
水面に適宜の色を流し、流線模様を作ります。頃よい好機を見定めて特別に製紙された
  和紙を水面にのせます。色素が完全に浸透したあと水面から引き上げます。 
  乾燥後、強化コーティングします。模様の継ぎ目が出来ないように長尺の紙に作業を
  しなければなりません。帯の長さの長尺が必要です。


    


  
模様箔は単独で図柄を表現するものではなく、織物の柄を効果的にするためのもの脇役
  でsりながら、その存在を積極的に提供するという役目を持つものです。また箔や塗料
  を何層にも重ねても、どんな図柄であっても、薄く柔軟性があり、織物の風合いを損ねる
  ことなく、しかも深み(立体感)が求められます。
  最近では印刷技術や、転写技術が発展してきています。パソコン活用も行われています。
  それらを活用し、従来の技法も組み入れて斬新なものが多く出来ています。

 

   5.蒸着製品の製法〜ソフトマガイ〜

   ポリエステルフィルムに金属蒸着された製品はそれぞれの目的により次の工程へと進みます

  金銀糸の箔として使用されるものは、裏側(銀側)に白コートをします。白コートのみで
  金糸になる場合や、紙を貼って金糸になる場合があります。撚り用の紙です。
  両面箔として使用されるものは平箔用の紙を貼りそれを2つに分割し貼り合わせます。
  (製品によっては紙を貼らずにフィルムのみで貼り合わせたり、三枚を貼り合わせたり
   もします)

  着色にはふたつの方法があります。あらかじめフィルムに色をのせ、その上から蒸着、
  白コート、紙貼りとする工程です。金属面とフィルム面の間に色があるため後加工にも
  対応出来、色の剥離もおきません。アンダー着色です。
  通常の場合は蒸着、白コート、紙貼りと下準備をし、フィルムの反対側に色をのせます。
  これをオーバー着色といいます。紙貼り仕様の場合は
      アンダーは表面から フィルム〜色〜銀〜白コート〜紙です。
      オーバーは表面から 色〜フィルム〜銀〜白コート〜紙です。

  また着色は金色を表現するだけではなく、光沢をわざと抑える錆着色や、重厚さを表現
  する古代着色、きらびやかさを表現するカラー着色などがあります。デザイン性を求め
  版型を用いて色の重ね合わせを」することもあります。もちろんそ重複させて、さらなる
  デザイン性を追及することもあります。

  出来上がった原料は目的に応じてマイクロスリッター(裁断)されます。最初は大切です。
  600mmから1500mmの原反を75mmから100mmに切り分けます。
  次はマイクロスリッターです。目的に応じて0.2mm〜1.0mmに切ります。
   (金銀糸にJIS規格はありません。各業者により少しずつ違いがあります。
      

  撚り用のべ―クボビンに巻き取られた箔が撚糸機にかけられます。現在ではフィルムタイプ
  の製品は高速撚糸されることがほとんどです。高速撚はフライヤーという金具用い、芯糸に
  対して遠心力を利用して巻きつけていきます。一部特殊な製品は今でも低速撚糸されています。
  低速撚糸は伝統的な金糸〜新マガイ〜で説明しています。
       

  撚糸された金糸はまず、蒸気でセットします。その後必要な長さに枠取りをし、再び
  蒸気と熱によるセットをします。1000mか2000mの綛にしたり、5000mから20000m 
  パイコーンに巻き上げます。

       


   6. 引き箔模様箔の裁断加工

   西陣織において引き箔は重要な素材です。。様々な技法で作られた箔を細く裁断する
  ことにより、織り上げることが可能になります。
 
  この裁断加工にも専門の業者さんがおられます。引箔業者さんから委託を受け、太い
  ものでは5切、10切、細いもので100切程度(一寸間)に裁断されます。
  ギロチンカットと呼ばれる伝統的な機械技法です。

   蕎麦を切るように刃が上下します。その下にセットされた箔が移動していきます。
  プーリー歯車や、デジタルで切巾を調整します。
      


      
  切り上った状態です。一番上には充て紙があります。
     
      

  上記に説明したものは巾450mm。長さ600mmのものです。帯一本には
  このサイズのものが5枚必要です。
  柄のつなぎ目は丁寧に仕上げられ判らない様に作業をします。時によって
  不具合を生じることもあります。

  そのような懸念を取り除く為に長尺の紙が開発されました。それに合わせて
  仕事をする専用の機械も作られました。
     
  この機械は調整が難しく、セットが少しズレてしまうとシワや切り損じがでるようです。







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